企業の経営会議をあえて「教室」で行うメリットとは?〜イノベーションは会議室ではなく教室で起きる〜
「最近、経営会議が単なる『報告会』になっていないか?」 「予定調和のシャンシャン総会で、本質的な議論ができていない」
もし経営者や幹部の方々がこのような危機感を持っているなら、変えるべきは議題でもメンバーでもなく、「場所」かもしれません。
今、最先端のスタートアップや感度の高い企業の間で、重要な戦略会議や経営合宿(オフサイトミーティング)の会場として「学校の教室」を選ぶケースが増えています。 なぜ、大人が、しかも企業のトップたちが、あえて子供の学び舎に戻るのか? そこには、脳科学や心理学に基づいた、ビジネスを加速させる合理的な理由があります。
1. 「上座・下座」の概念を破壊し、フラットな対話を生む
一般的なボードルーム(役員会議室)には、明確なヒエラルキーが存在します。重厚な椅子、立派なテーブル、そして上座に座る社長。この物理的な配置そのものが、「社長の顔色を伺う」「沈黙を守る」という無言の圧力を生み出しています。
一方、学校の教室はどうでしょうか。 全員が同じ形の簡素な机と椅子を使います。そこには「部長席」も「課長席」もありません。 物理的な環境を強制的にフラットにすることで、参加者の深層心理から「役職の鎧」を外し、「一人の人間」として対等に意見を交わす土壌が整います。 「教室」という空間は、組織の硬直化を防ぐ最強の装置なのです。
2. 「正解」ではなく「問い」を探すマインドセットへ
ビジネスの現場、特に会議室では「正解(または正解らしいこと)」を言うことが求められます。これが、斬新なアイデアを殺す最大の要因です。
しかし、学校は本来「未熟な者が学ぶ場所」であり「間違えることが許される場所」です。 教室の風景は、私たちの脳に眠る「学生時代の記憶」を呼び覚まします。「わからなければ質問する」「間違ったら書き直す」。この「学習者(Learner)」のマインドセット**に切り替わることで、体裁を取り繕うだけの発言が減り、「そもそも我々の価値とは何か?」といった本質的な「問い」に向き合う姿勢が生まれます。
3. 黒板という「思考の拡張ツール」
ホワイトボードやプロジェクターと、学校にある「黒板」には決定的な違いがあります。それは「身体性」と「情緒」です。
- 思考の可視化: 黒板はサイズが圧倒的に大きいため、議論の全容を消さずに残しておけます。過去の発言と現在の発言をつなぎ合わせ、全体像を俯瞰するのに最適です。
- 不完全さの共有: パワーポイントの資料は「完成された結論」ですが、チョークで書かれる文字は「現在進行形の思考」です。手書きの文字、チョークの音、粉の匂い。五感を刺激しながら、未完成のアイデアを全員で叩き、育てていくプロセスは、チームの一体感を醸成します。
4. 「初心」に帰る、強制的なリセット効果
経営判断に迷った時、創業時の情熱やビジョンに立ち返ることは重要です。 学校というロケーションは、誰もが持っている「純粋だった頃」の感覚、いわゆる「初心(ビギナーズ・マインド)」を強制的にリセットして呼び起こす力があります。
利益やKPIの数字はもちろん大切ですが、それ以前に「なぜ私たちはこの事業をやっているのか?」という原点に立ち返る場所として、これほど適した環境はありません。
まとめ:場所を変えれば、未来が変わる
飯田橋にある学校跡地のレンタルスペースは、都心にありながら、一歩足を踏み入れれば喧騒を忘れる「学びの空間」が広がっています。
次の経営会議は、高級ホテルの会議室ではなく、あえて「教室」で開催してみませんか? いつもより少し硬い椅子の上で交わされる議論こそが、貴社の次の10年を作る柔らかい発想を生み出すはずです。


